『源氏物語』を原文で読む

広島市中区・安佐北区で源氏物語講座を行っている講師のブログです

『平安人の心で「源氏物語」を読む』の感想

私は10歳の時から『源氏物語』に魅了されているのですが、人間なので、常に「大好き大好き大好き大好き」と思い続けているわけではなく、何度か「大好き!」と思う瞬間がありました。

 

漫画版の『源氏物語』と出会った小学生時代

 

瀬戸内寂聴さんのエッセイで本格的に『源氏物語』に引き込まれ、与謝野源氏や橋本源氏に挑戦した中学生時代

 

瀬戸内寂聴さんや田辺聖子さんのエッセイを読み漁り、自分でも真似してエッセイを書いてみた高校時代。田辺源氏を読んだのもこの頃かな?

 

源氏物語研究会というサークルに所属し、初めて文学仲間ができた大学時代。瀬戸内源氏も読みました。

 

これらはとても幸せな時間でした。

 

しかし、しんどい時がなかったわけではありません。

 

卒論や修論を書いた直後は「しばらく源氏はいいや」と思ったし、大学院時代は研究の厳しさに耐えかねて源氏から逃げ出したくなったこともありました。

 

でも。波はありましたが、源氏と出会って27年、私の心の奥底には常に源氏を愛する気持ちがありました。

 

今はカルチャースクールの講師としてレジュメを作成しているわけですが・・・これをきっかけに私の中に何度目かのマイブームが起こっています。源氏が好きでたまらなくて、「とにかく原文やら源氏に関する書籍やらを読みたい!」という熱い気持ちが込みあげているのです。

 

そんな中、購入したのがこちら。

paypaymall.yahoo.co.jp

 

「今は源氏に関する、(難解な研究書ではなく)読みやすくて面白い本が読みたい気分」と思ってこちらを買ったのですが、大当たりでした。研究者が書かれた本は文章が硬すぎて読みにくいことも多々ありますが、こちらの本は非常に分かりやすかったです。

 

源氏のあらすじを説明した本はたくさんありますが、こちらはあらすじよりも、背景にある平安時代の歴史や文化について詳述されています。

 

資料も充実していました。特にいいなと思ったのは寝殿造の図

 

邸の模型の写真やら簡単な図やらはいろいろな解説書に載っていますが、「ここが北廂で・・・」とか「これが妻戸で・・・」とか、逐一示している図ってそんなに多くはない気がするんです。

 

だからこの本に載っている寝殿造の図は貴重かな、と。こういうのを見ると、光源氏と空蝉が契った時の登場人物(中将の君やら小君やら女房達やら)の位置なんかもよく分かりますよね。

 

今までにいろいろな源氏関連の本を読みましたが、この本はかなり気に入りました。五本の指に入ります。初心者にも分かりやすく書かれているのでお勧めです。