『源氏物語』を原文で読む

広島市中区・安佐北区で源氏物語講座を行っている講師のブログです

訃報

大学時代にお世話になった先生が亡くなられたという連絡がありました。

 

大学時代、私に大学院進学を勧めてくださった先生。

 

二校の受験に失敗してOLになった私に電話をかけてきてくださり、「きみにOLなんて向いてないでしょ。きみは絶対に研究者を目指したほうがいい」と言ってくださった先生。

 

ただの学士、ただのOLだった私に「『源氏物語』に関する本を出すから、一部執筆してください」と依頼してくださった先生。

 

先生のおかげで奮起した私は、東京の満員電車の中でもう一度受験勉強をし、明治大学大学院に合格することができました(余談ですが、その2年前に落ちた大学院は別のところです)。

 

大学院在学中に結婚、出産という道を選んだので(出来ちゃった結婚ではありませんよ)博士号取得は遠のいてしまいましたが、先生は変わらずに「育児も人生にとって大事なことですよ。育児が落ち着いたらまた研究の道に戻りましょうね」と私を励ましてくださいました。

 

赤ちゃんを育てるかたわら、先生からの依頼で『平家物語』に関する本の一部を執筆させていただいたのも良い思い出です。

 

先生との出会いがなかったら、今の私はありません。『源氏物語』の本と『平家物語』の本は私にとって宝物で、私の棺桶に一緒に入れてほしいと家族に遺言しています。

 

もう先生にはお会いできないんだな。3年前のあの日が、先生にお会いできる最後の日だったんだな。

 

そう思うととてもショックでした。

 

「大学の教壇に立ちたい」という夢はまだ叶っていないし(1日だけは講義させてもらったことがあるんですけどね)、叶うか分からないけれど、「カルチャースクールで『源氏物語』を教えることになりました」とご報告したかったな(年賀状には書いたのですが、年賀状を読む前に亡くなられたそうです)。

 

先生、本当にありがとうございました。先生に教えていただいたことを忘れず、これからも頑張っていきます。