『源氏物語』を原文で読む

広島市中区・安佐北区で源氏物語講座を行っている講師のブログです

自分を『源氏物語』の登場人物に例えるなら?

子供が三人いて、毎日忙しいのですが(特に小学校が突然休校になってしまいましたしね)、可能なかぎり、『源氏物語』の原文を読むようにしています。大学院時代の指導教授も「研究する上で一番大事なことは原文を繰り返し読むことだ」と言われていましたし。

 

一日一頁でも良いから、出来るだけ毎日読みたいなと思っています。毎日が無理なら、二日に一度でも。

 

今は総角巻を読んでいます。匂の宮と中の君が結婚した後。もうすぐ大君が死ぬ場面です。

 

総角巻を読んでて思うのは「大君を見てるとしんどい・・・^^;」ってこと。

 

大君って頭が固いじゃないですか。

 

中の君は匂の宮に強引に踏み込まれて、突然結婚することになったけど、中の君の心の中には匂の宮への愛情が芽生えていくんですよね。中の君は順応性が高い人だと思います。

 

それに対して大君は「匂の宮はきっと妹を捨てるに違いない。妹は不幸になるに違いない。男なんて信用できない。人間なんて信用できない」・・・みたいな^^; 

 

なんだか呪いの言葉を吐いている感じがします。自分で自分を不幸にするタイプっていうか・・・。

 

ただ、大君の成育歴を考えると、こうなってしまったのも仕方ないのかもしれませんね。幼少期から使用人に裏切られたりしたんですもんね。そりゃ、人間不信にもなりますよね。

 

大君を見てるとツライわぁ・・・なんて言いつつ、実は私自身、大君と同類だったりします(笑)。視野が狭い人間で「〇〇に違いない!」と思いこんだら、もうそれしか見えないタイプなんです。

 

そんなことを考えていたら、ふと、高校時代のことを思い出しました。私は大学の推薦入試を受けたんですけど、高校の先生方と面接の練習をしていた時、ある先生が私に質問したんです。

 

あなたは『源氏物語』の登場人物の中で誰に近いですか?

 

私は迷うことなく、「明石の君です」と答えました。

 

私は高校時代、人間不信で、くらーい毎日を送っていたんです。本音は退学したかったのですが、どうしても大学に行きたかったので、受験のためだけに我慢して高校に通っていたという・・・。

 

「明石の君は愛する我が子を奪われても耐えました。私も忍耐力があると自負しているので、明石の君と共通点があると考えました」と私は答えたのですが、これ、先生方に対する痛烈な皮肉なんですよ(笑)。「あなた達が問題を見て見ぬふりしてるせいで、私は毎日苦しんでいるのよ」という・・・。

 

まぁ、結果的には退学しなくて良かったです。大学と大学院に行けたのは、あの高校に最後まで通ったおかげなのでね。人間関係は最悪だったけど、先生方の教え方とか、使ってる教材とかは良かったし。

 

高校と違って、大学はめちゃくちゃ楽しかったです。良い友人達に囲まれたので。

 

そこで初めて『源氏物語』を愛する同世代の友人ができたのですが・・・大学時代に彼女達に言われたのは「あなたを『源氏物語』の登場人物に例えたら、六条御息所だね」ってこと(笑)。

 

六条御息所は大君以上に「思いつめやすい性格」ですよね。嫉妬心から生霊・死霊となり、光源氏の愛した女性達を次々に苦しめてしまう人。

 

やだ、こわ~い。うん、でも納得(笑)。いや、私は生霊は飛ばせないですけどね。私も「思いつめやすい性格」だから、六条御息所に例えられたんでしょうね^^;

 

大君も明石の君も六条御息所もどちらかというと陰の人ですよね。陽はないでしょう(中の君は陽かな?)。

 

私の人となりを想像していただけたでしょうか(笑)。

 

ちなみに大学時代の恩師からは、2年生の時に「紫式部(=陰)みたいにならないでくださいね(涙)」と言われたのですが、卒業時には「清少納言(=陽)のような明るい女性になりましたね^^」と言われました。

 

そして大学卒業後、後輩達からは「先輩は菅原孝標女(『更級日記』の筆者。源氏物語大好き少女)みたいな人ですね」と言われました。

 

高校時代に陰キャだった私ですが、友達のおかげて陽キャに近づいたのかもしれません。友達ってありがたいですね。