普段古典文学に関する本をよく読んでいる私ですが、あるきっかけで戦国武将に興味を持ったので、こちらの本を購入しました。
多くの大河ドラマの時代考証をされている小和田哲男先生の著書です。
戦国時代を取り上げたものって「〇〇年に▲▲氏と■■氏が戦った」という歴史について解説している本が圧倒的に多いですよね。
しかし私が読みたかったのは「戦国武将はどんな生活をしていたのか」を教えてくれる本でした。戦国武将が身につけるべき教養や、戦国武将の趣味は何だったのかを知りたかったんです。
『戦国武将の叡智』の第一部・第二部は合戦に関する記述が多いですが(これはこれで面白かったです。いろんな考え方の武将がいたんだなぁとワクワクしました)、第三部は「戦国日本の文化と教養」というタイトルで、戦国武将の生活について詳述されていました。とても良かったです。
『源氏物語』にも触れられていましたよ~。
戦国武将は日本や中国の歴史書や兵法書だけではなく、古典文学も好んで読んだんだそうです。合戦シーンのある『太平記』や『平家物語』は特に人気だったそうですが、意外と『源氏物語』や『伊勢物語』も読まれていたのだとか。
というのは、戦国武将にとっての必須教養科目のひとつに和歌と連歌があり(もちろんそれ以外にもたくさんありました)、気の利いた和歌や連歌を詠むために王朝古典文学を読んでおく必要があったそうです。
戦国武将がマスターしておかなければならないものは学問だけではなく、スポーツ、音楽などさまざまでした。武術を磨く傍ら、たくさん学んだんですね。
意外だと感じたのは「戦国武将が身につけるべき教養のひとつに華道があった」ことと「戦国武将は料理をした」ことですね。
「日々戦いに明け暮れていた武将が家では生け花をしていたのか~」とか、「料理なんて侍女に任せていたのかなと思っていたけど、自ら包丁を持ってたのか~」などと思いながら読みました。
ぼんやりとしていた戦国武将のイメージが少しずつ像を結んでいくような良書でした。お勧めです。
それにしても、やはり信長・秀吉・家康は偉大だったんだなぁと再確認しました。歴史を動かした人物はスケールが違いますね。