『源氏物語』の愛は「形代の愛」です。『源氏物語』の男達は、手に入らない愛しい人の身代わりを愛します。
正編の主人公である光源氏は藤壺に初恋を抱きます。が、藤壺は父の后。光源氏の初恋は「許されざる恋」だったのです。そこで光源氏は藤壺の代わりに、藤壺の姪である紫の上を自分好みの女性に育てます。
続編の主人公である薫は愛する大君に死なれたので、大君の異母妹である浮舟を身代わりにします。
これらは有名ですが、実は冷泉院(表向きは光源氏の異母弟だけど、実は光源氏と藤壺の間の不義の子)も「形代の愛」を貫いていること、ご存知ですか?
冷泉院は帝だった頃(当時20歳)、玉鬘(24歳)と一度対面しています。冷泉帝は玉鬘を素敵な女性だと思い、また玉鬘も冷泉帝に惹かれますが、玉鬘は髭黒に迫られて泣く泣く結婚した後だったので、冷泉帝と玉鬘が結ばれることはありませんでした。
それから24年。
冷泉院は玉鬘の身代わりに、玉鬘と髭黒の間に生まれた長女を寵愛するのです。
純愛を通り越して、ちょっと怖くないですか(;^ω^)
しかも冷泉院(44歳)は時々長女のところへやって来る玉鬘(48歳)への想いも断ち切ることができないんですよ・・・(汗)。
玉鬘は「この年になって冷泉院と浮き名を流すことになったら恥ずかしい」と思い、参院を控えるようになります。この時の玉鬘は未亡人ですが、まぁ、やっぱり年齢が年齢だから・・・ね。冷泉院は娘の夫になってるわけだし。もし玉鬘と冷泉院が結ばれたら、玉鬘は藤原薬子になっちゃうよ~(汗)。
母(玉鬘)と夫(冷泉院)の過去を知らない長女は「お母さまはなんで私のところへ来てくれないの」と恨みます。不憫・・・。
冷泉院は『源氏物語』の中で「聖帝」として描かれています(モデルは村上天皇です)。
美しくて、賢くて、真面目で・・・というイメージがありますが、実はこんな一面も。さすが、光源氏の息子・・・(笑)。
まぁ、冷泉院と玉鬘の長女が結ばれる話が描かれている竹河巻は、作者別人説が根強いですけどね。だからでしょうか、かの有名な『あさきゆめみし』ではばっさりカットされています。
[http://
人気ブログランキング:title]